★『バッテリーについて調べてみた』【Li-Poバッテリーは何故膨らむの?】
読者の皆様、こんにちは! (‘◇’)ゞ
前回は『バッテリーの基礎講座』的な感じで書いてみましたが、読者の方から
『Li-Poバッテリーが何故膨らむか知りたい。』と言う リクエストがありました!
と言うことで、今回は『Li-Poバッテリーは何故膨らむのか?』について自分なりに勉強した事を、なるべく分かり易く解説してみたいと思います。
では、まずは『リチウムイオン(Li-poやLi-fe、その他のリチウム含有バッテリーの総称)』の構造から見てみましょう。👇
上の図は一般的な『Li-Po(リチウムポリマー・通称リポ)バッテリー』の内部構造であります。
いわゆる『1セル』と言われる物で、ラジコンによく使われる『2セル・7.4V Li-Poバッテリー』は、これが2個直列にパックされた物です。
もう少し各部の補足説明をしますね。
真ん中の『セパレーター』と言われる物は、正極(プラス)と負極(マイナス)を仕切るための『絶縁材』であります。
小さい穴が開いているフィルム状の物で、その穴をリチウムイオンだけが通り抜けることが出来ます。
ですので、マイナスとプラスがショートすることはありません。
内部の『電解液』は液漏れを防止するためゲル状に固められています。
その電解液の中にリチウムイオンが溶け込んでいる状態です。
リチウムは非常に毒性が強く、不安定な物質(発火しやすい物質)なので危険物に指定されています。
ちなみに自分が使っている『Li-Fe(リチウムフェライト・通称リフェ)バッテリー』は、正極材が『リン酸鉄リチウム』で出来ている物を言います。
これについては後で少し補足したいと思います。
では次に、『充電』と『放電』をしている時にバッテリーの中で何が起こっているのか?を図で解説しみたいと思います。
まずは『充電』から・・・👇
図で示したように、正極(プラス)から負極(マイナス)へ、電解液の中に溶け込んだリチウムイオンが移動します。
正極・負極、それぞれにリチウムイオンを貯蔵できる数は決まっているので、沢山貯蔵したい(容量を増やしたい)場合は長さを長くするか、面積を大きくする必要があります。
次は『放電』であります・・・👇
充電時とは逆に、 負極(マイナス)から正極(プラス)へ、リチウムイオンが移動します。
この様に『リチウムイオン』の移動に合わせて電流が流れる構造になっています。
さあ、ここまではあくまで予備知識であります。
ここから『本題』の ”何故Li-Poバッテリーは膨らむのか?” の部分に入っていきます。
よく聞く話しでは、Li-Poバッテリーを ”過充電” や ”過放電” させてしまったら膨らんでしまった・・・と聞きますよね。
では、『過充電』したらLi-Poバッテリーの内部では何が起こるのかを、図で見てみましょう! 👇
いかがでしょうか?
図では『過充電』と書いてありますが『満充電状態で保管』しても同じ現象が起きます。
要は『バッテリー内部が活性化した状態が長く続く』様な状態が、最も危険な状態と言えますね。
さあ・・・それではこの状態から、さらに充電を続けたどうなるか見てみましょう! 👇
結果的に内部構造が熱で壊れてショート・・・そして内部で発生した可燃性ガスと酸素がリチウムと反応して引火・爆発・・・と言う状態になってしまいますね。
ここまで至る状態も図で書いてみました 👇
これを見ると『温度管理』である程度は防ぐことが出来そうですね。
では『過放電』についてはどうなのか・・・?
と言うことになるのですが。
結論から言うと、過放電で発火する危険性は少ないそうです。
ですが、過放電によってバッテリー内部にダメージが残り、次に充電した時に『内部短絡(ショート)』によって発火する可能性があるそうです。
ですから危険性からすると『過充電』の方が圧倒的に大きいのですが、『過放電』してしまったバッテリーも危険をはらんでいることに変わりはない様であります。
いずれにしてもデリケートなバッテリーであることには変わりは無いので、充放電の管理(専用充放電器の使用)や、強い衝撃を避ける等の注意は必要だと思われます。
では、冒頭で話しに出てきた 『Li-Fe(リチウムフェライト・通称リフェ)バッテリー』 について説明しますね。
先にも述べたように、基本的にはLi-Poバッテリーと同じであります。
大きく違うのは正極に『リン酸鉄リチウム』を使っているだけであります。
これによって、Li-Poバッテリーで危険とされた『過充放電』に対しての安全性が高いと言われていますね。
Li-Poバッテリーに使われている『コバルト酸リチウム』は、充放電効率は高いのですが、熱に対して脆い性質があります。
( 内部短絡(ショート)や熱により、構造が壊れて酸素ガスを放出する )
それに対して『リン酸鉄リチウム』は、電池内部で発熱があっても構造が壊れにくく安全性が高いとされます。
欠点としては、Li-Poバッテリーの定格電圧(1セル)が3.7V程度であるのに対し、リン酸鉄系は3.2V程度しかないため、2セルで6.6Vしか出せない点でしょうか。
特にタミヤ系のレースに関しては、安全性を重視してLi-Feバッテリーしか使用出来ませんが、『パワーのLi-Po』を取るか、『使いやすさのLi-Fe』を選ぶか、の悩ましさはありますね。
下に良さげなLi-PoバッテリーとLi-Feバッテリーを、いくつか載せておきましたので良かったら覗いて見て下さい。👇
最後に取り扱いに対しての注意点を【まとめ】てみました。
・充電器はリチウムバッテリー対応品を使用して、正しい方法で充電をする。
・過充電は厳禁。常に目の届く範囲で充電を行う。
・満充電の状態で保管しない。必ずストレージ充電で残量を60%程度にする。
・過放電防止のため、ESCのカット電圧設定を必ず行う。
・放電状態で長期間放置しない。
・強い衝撃を与えない。もしバッテリーが傷がついたり、膨らんだり、柔らかくなった場合は使用しない。
・炎天下の車内など、高温な場所に長時間放置しない。
さあ、いかがでしたでしょうか?
なるべく難しくならない様に、図解を用いて説明してきましたが、自分自身も勉強しながらだったので上手く説明できたのか疑問ではありますが・・・。
今後も、皆様の素朴な疑問にも答えられるような記事を書いて行きますので、宜しくお願い致します!m(__)m
では、また次回をお楽しみに~ (=゚ω゚)ノ
「ラジコン情報」カテゴリーの関連記事
「小技・ノウハウ・技術情報」カテゴリーの関連記事